人気ブログランキング | 話題のタグを見る

山梨県北杜市の森のようちえんピッコロ スタッフと保護者のブログ


by 森のようちえんピッコロ
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

ねこ

車を運転中、前の車が車線変更していた。
何か落ちているんだなと思っていた。
よく見ると血だらけのねこが道路で手足を動かしバタバタしている。
その様子を見た、たっちゃん(9歳)、ゆい(5歳)が
「車、停めて!!停めて!!」と叫ぶ。
なんとか何かしてあげたいから早く車を停めて!!!
という気持ちが後ろの席からバンバンきた。
でも私はどうする、、、どうする、、、逃げたい気持ちだった。
もちろん助けてあげたい気持ちもある。
頭から血がたくさん出ているのでものすごく怖かった。
アスファルトに広がっている血。でもねこは生きている。
ねこを見てから数秒の間に頭がフル回転。
何より2人の気持ちが強かった。
あとから思えば、もしかしたら子どもがいなかったら
停まっていなかったかもしれない。
すぐに道路脇に車を停める。
2人は猛ダッシュで近くに駆け寄る。
車がどんどん車線変更していくので危なくて近くに寄れない。
だんだん力が弱くなってきているねこ。
2人はねこをず~っと見て車が停まってくれるのを
待っているがなかなか車は停まらない。
そのうちに1台の車がハザードをつけて停まってくれた。
後ろの車も停まっている。
車が停まってくれているので、ねこを持ち上げ道路脇へ。
ぐったりしている。動かないねこを見ながら、
ゆい「警察がくるかな」と一言。警察?と一瞬思ったが、
たっちゃんの「病院につれていこう!」ということで
病院へ連れて行くことに。

車の中は無言。誰も何も話さない。
何か祈っている感じが伝わってくる。
たっちゃんの「こんなときに限って前の車おそいね」
車の中はこの一言だけだった。

病院につくと先生は受付で動物の診察が終わったおじさんと
話しをしていた。その後ろに並んでいた。
一刻も早く見てほしい気持ちが伝わったのか
「どうしたの?」と先生が声をかけてくれた。
「道路でひかれていました」と見せると「死んじゃっているね」
と一言。
その言葉を聞き、動けない私たちに前にいたおじさんが
「埋めてあげて」と言ってくれた。
駐車場に戻りただ猫を見つめていた。
診察が終わったさっきのおじさんが
「うちのねこも車にひかれちゃったんだよな、かわいそうに、
その気持ちわかるよ」と言ってくれた。
3人で泣いた。

家に戻り、すぐにスコップで穴を掘るはるな。
ゆいがねこを持ち上げ穴に入れてあげる。
たっちゃんが土をかける。
自然にそれぞれがお花を摘み、手を合わす。
急にたっちゃん「名前をつけてあげようよ」。
ん?名前?埋めてあげた今??
どうもひっかかっているのは私だけ。
3人はもう考えている。色々出る。しばらく考え、
はるな「今日は5月1日だから、、、ごいちゃん、、、う~ん、かわいくない。
いちごちゃんは?かわいいし」、たっちゃん、ゆい「いいね~」
いちごちゃんに決定したらしい。私「どうして名前をつけてあげたの?」
たっちゃん「名前ないのかわいそう」
私「かわいそうだよね、いちごちゃんってつけてくれてどう思っているかな?」
たっちゃん「わーい!名前つけてくれたんだって喜ぶよ」

後日、私「道路の横に連れて行った時に
ゆいは警察がくるよって言っていたでしょう、なんでそう思ったの?」
ゆい「人がひかれたら警察来るでしょう」(人もねこも同じ)
「そしたらテレビに出て、ねこを飼っている人が、
「あっ!うちんちのねこ」ってわかるから」。
たっちゃん「どこのねこかわかんないしな~、
探しているよね、どこいっちゃったんだろうって」。
ゆい「警察の人にいう」

さらに後日、車にひかれてしまった場所の近くの派出所に向かう途中、
ゆいは何度も何度も言う練習をしていた。
ゆい「5月1日の日にねこがどうろでしんでいました」
そのあとどこの場所だったか、家の庭に埋めたこと、
どんな猫だったかなどを自分で全部説明する。
最後まで子どもの話しを丁寧に聞いてくれた警察の方、
お忙しい中、本当にありがとうございました。
私がその場でしたことは、
もし探している方がいたらとそこだけ連絡先を伝えた。

道路わきで2人が猫を目の前に、
車が停まってくれるのを待っている時の印象が深く
何日も目に焼き付いていたので
私「あのとき車が停まってくれなくて何台も通り過ぎたよね。
どう思っていたの?」
と聞いた。
たっちゃん(ちょっと怒りながら)「みんな人まかせなんだよ!」
ゆい「ねこかわいそうって思わないのかな、
かわいそうって思っていたら停まるはずでしょう」

あ~~人まかせに育っていない。
そして逃げないで車を停めて本当によかった。
逃げる背中を見せなくてよかった。

以前、ピッコロから帰るとき、車が側溝に落ちていたので停まり、
けん引ロープで引っ張った。
すると、車に乗っていた80歳ぐらいのおばあちゃんが
「車が落ちてから何台もこの道を通り過ぎていった。普通の人はそうなんだよ」という。
そして、両手を出し私の手をすごい力でにぎり、涙を流しながら何度も何度も
「ありがとう、ありがとう」と言ってくれた。
それを聞いてやっぱり人まかせの世の中にしたくないな~と思った。

逃げない私でいられたのは子どもたちがいたから。
いくらでも逃げられた。
お迎えがあるしとか、感染症が心配とか、道路は危ないとか、
道せまいから車停められないしとか色々考えられる。

子は親の背中を見て大きくなる。
親は子を見てもっと強くなれる。

保育スタッフ&在園保護者&卒園保護者 まな
by mugihause | 2016-06-07 00:11 | 卒P!日誌